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執筆者の写真浄光寺

一体この国はどこへ向かうのか

 昨年12月、岸田総理は「安保3文書」を閣議決定しました。その中身は「反撃能力」という名で「敵基地攻撃能力」の保有を認め、その為に5年間で43兆円という大軍拡とそれに伴う増税に踏み出そうとするもので、日本が戦争に巻き込まれるリスクが一気に高まりつつあります。「台湾有事」や北朝鮮問題をことさらに煽り、「日本を取り巻く安全保障環境が変わった」という言葉を盾に大軍備路線が急速に進められています。12月17日の琉球新報の一面は「安保大転換 沖縄最前線」というように本土とは次元の違う緊張感で受け止められています。

 しかし、この国の政府が主体的に現実を分析し、この国のあるべき将来像に向かって方針が打ち出されているようには到底見えません。今回の防衛予算や防衛費をGDP比2%に積み上げるのも、アメリカが北大西洋条約機構(NATO)に求める水準に足並みをそろえるためであって、アメリカから言われた数字をそのまま受け入れただけです。まずアメリカからの要求があり、それに合うように予算が組まれ、さらにその予算枠に合うように、「中国や北朝鮮の脅威」なる「現実」が想定されているという、全く逆立ちした政治が続いています。日本政府が購入を決めたトマホークにしても、その前に「爆買い」したF35戦闘機にしても、米国内でははっきりと「使い物にならないほど時代遅れ」の兵器とされています。アメリカには軍産複合体という巨大な圧力団体があります。兵器産業にいま大量の在庫が残されている以上、それを処理しなければなりません。それを日本に売りつけているのです。不良在庫を言い値で買ってくれるのですから、アメリカにしてみたら日本の自公連立政権ほど「使い勝手のよい」政権はありません。

 原発政策についても3.11の事故後、もう原発とは共存できないと私たち日本人は強く思いました。政府も「原発依存度を可能な限り引き下げる」としてきました。しかし、今や福島のことなどなかったかのように原発完全復活路線に大転換しようとしています。報道されているように、ドイツ政府は4月15日に脱原発を完了させました。そして、再生可能エネルギーの比率を30年に65%まで引き上げる目標に向けて走り出しています。すべて福島の事故から学んだ教訓を生かした国策です。また原発の出す核のごみはドイツ国内では処理の見通しがなく将来世代にまで負担を先送りすることになります。これも利己的な行為で倫理的に許されない。そうであれば、原発を止めるというのが正しい選択です。その道は険しいが、国を挙げて取り組めば、イノベーションが進み実現できる可能性はある。ならば、その道を突き進むべし。これが脱原発の根本的な哲学です。日本では地震に弱い原発を何となく動かし、核のごみが処分できないことを知りながら漫然と稼働を許す。原発依存のおかげで、再生可能エネルギーやEV(電気自動車)の分野で、世界のイノベーション競争に敗れ、G7では温暖化対策推進の足を引っ張るお荷物になってしまっています。

 次の世代にどんな世界、どんな社会、どんな国を受け渡すのか、これは私たちが真剣に向き合わなければならない大きな責任です。


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