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四月のことば

この私のいのちに 

  いつも如来のいのちが

 通い続けている(『月々のことば』より)


 今月の言葉は海外布教や著作を通して親鸞聖人のみ教えを多くの方々にお伝えすることに尽力された藤澤量正師のお言葉です。榎本栄一さんが詩の中で「大悲の中を ほくほくあるいている」と表現されたように、毎日の日暮らしの中でゆとりと喜びを失わず、のびやかに安らいだ心で「ほくほくと生きる」人生を続けたいという思いで著された『ほくほく生きる―九十歳の法話―』という書物の中の一節です。人生は順境の時も孤独と苦労の中でも、仏さまはこの私から決して離れることなく大悲の中に包んでくださっている、そのことに気づかされたならば、いつでもどこでもどんな時でもよろこびの見える人生が開かれるのだ、と。「この私のいのちに いつも如来のいのちが通い続けている」という事実を決して忘れてはいけないと言われました。

 パラリンピックの提唱者であるイギリスのグットマン博士は「失ったものを追い求める前に、残されたものの価値を見出せ」という言葉を残しています。阿弥陀さまの智慧は全ての物事を固定的な実体と捉えません。私たちが物事を一義的に限定して捉えてしまい身動きが取れなくなるような考え方を戒め、さまざまな見方や考え方、受け取り方があることを教えてくれます。憎い人の中にも如来を見、不遇の人生の中で阿弥陀さまのお育てを感ずることのできるような智慧を与えてくれます。苦難に耐える力と、苦難の意味を転換する智慧とを与え、人々を救っていくのが阿弥陀さまの大悲・智慧のはたらきです。

 お念仏に出遇った一生は、無碍光の光に包まれてあたたかい大悲を仰いで静かにお浄土へと歩み続けます。勿論人生には絶えずさまざまなわざわいや悩みの波風が起こってきますが、無碍光の智慧と慈悲に抱かれて、その波風に沈むことなく、一つ一つの出来事を「おかげさま」と受け止め、慶びに転じ超えさせていただくことができるのです。阿弥陀さまの救いの慈悲の中に生きる念仏の行者は、障りや禍をも豊かに深く生きる意味に転じさせていただきながら、人生を豊かなものにしていくのです。

 親が病気で苦しむ子どもに全身全霊をかけて関わっていく時に、その子がいい子かどうかは関係ありません。子どもの苦しみを自らの苦しみと感じて親は関わっていきます。同じように阿弥陀さまの救いは私の病が重ければ重いほど、苦しみが深ければ深いほど、大悲をもって深く関わっていきます。どんなにそのことから背いて生きていこうとする人も、絶対に見捨てることなく必ず救い取るという強烈な大悲をかけられているのです。この私のいのちにいつでも、どこでも、どんな時でも、阿弥陀さまは「南無阿弥陀仏」となってはたらいてくださるのです。


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