ロシア軍がウクライナへの侵攻を開始しました。ロシア大統領は核兵器使用も辞さずというような強硬な発言もしているとのこと。この戦争によって莫大な利益を期待する軍需産業、世界でのリーダーシップを手に入れたい大国の思惑等々、背後で醜悪な人間の愚かさがうごめく中、普通の人たちの普通の生活が、そして大切ないのちが、傷つけられ奪われていきます。人類がこれまで築いてきた良識が、何とか事態を最小限の混乱に収めてくれることを願いつつ、こういう時こそ日本政府には平和的外交の努力を貫いて欲しいと思います。
しかし、現政権が発足して以来、岸田首相は任期中の明文改憲を繰り返し言明しています。改憲の最大の狙いは憲法九条に自衛隊を明記し、緊急事態条項を導入して、他国での戦争行為に道を開き、戦争を始めたときには権力を集中し私権を制限できる体制を作ることです。その手始めに、岸田首相がアメリカに約束したのが「敵基地攻撃能力」を持つことです。この「敵基地攻撃能力」とは本質的に他国を先制攻撃できる戦力のことであり、憲法九条とは相容れないものです。安倍元首相はこれを「敵基地だけに限定せず」「相手をせん滅する」「打撃力」と表現し、自衛隊の統幕長は「相手の基地に限らず、指揮・統制施設や通信施設などへの攻撃も含む」「相手に耐えがたい打撃を与える」能力と説明しています。米国に追従し、軍事力を背景にした政治的発言力を世界で高めたいという思いが政権の中でふくらんでいるようです。しかし、力を力で押さえつける道の先には破滅しかありません。
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